取材・撮影・文/マツモトカズオ
佐賀県有田町。17世紀初頭より400年の歴史を持つ磁器「有田焼」の産地として世界中に知られた街である。この情緒溢れる街並の中に、ハーレーを メインに、バイク販売とカスタムを手がけるショップ「モーターワールドクリエイト」(以下MWC)がある。ハーレー、国産四メーカー等の大型車を幅広く扱 い、最も得意とするハーレーの取り扱いを始めたのは90年のこと。以来四半世紀に渡って、ハーレーライダーたちに支持されている。
店頭で販売されているのは主に高年式車。中古車に関しては、一見して新車と見紛うようなクオリティを保っている。「お客様にはコンディションのいい 中古車を快適に乗ってもらいたい」。そんな思いが感じられる、こだわりのラインナップがショールームに並んでいるのだ。思わず目移りしてしまう豊富な品揃 えなのだが、実はショールームに並ぶのは在庫の一部のみ。同店は店舗とは別にストックヤードを所有しており、そこにもハーレー各ファミリーの厳選中古車を 常に多数ストックしている。MWCが中古車の販売において高く評価されているのは、この品質と豊富な在庫の数に他ならない。
同店はカスタムにも力を入れている。店内を見渡すと、スポーティなダイナもあれば、バガースタイルにカスタムされたツアラー、更には国産SSのフルチューン車までが並び、MWCのカスタムの幅広さを目の当たりにする事ができる。 |
![]() |
![]() |
「うちに来ていただければどんなスタイルでも作れます」と話してくれたのは店長の福本さん。1つのカスタムスタイルに固執する事なく、ユーザーのニーズに柔軟に対応すべく様々なカスタムプランを提案する懐の広さをMWCは持っている。
コンピューターチューニングにも精力的だ。純正仕様のコンピューターを用いて更に乗りやすいバイクへ昇華させるフラッシュチューニングを始め、コン ピューターをサンダーマックスへと換装することでワンステップ上のチューニングにも対応。愛馬のパワーアップを望むなら、一度チューニングの相談にMWC を訪ねてみても面白いだろう。
そして、カスタムペイントに関しても優れたセンスと技術を持つペインターをMWCは有している。ユーザーとミーティングを重ね、時としてショップからもデザインを提案。個性的なユーザーでもそのイメージに応えられるように心がけているのだ。 |
店内には、スタッフとお客さんの和気あいあいとした空気が漂っている。このアットホームさもこのショップの魅力のひとつで、バイクに乗っていない家 族(奥様やお子さんなど)でも有意義な時間を過ごすことができるのだ。一般的に「ハーレー屋」と言うと敷居の高いイメージを想像するかもしれないが、ここ にはそんな重い雰囲気は皆無だ。
マネージャーの上野さんは言う。「私たちはバイクではなく、バイクに乗る楽しみを売っているのです。バイクはあくまでもその為のアイテム。ライダーさんの自己表現のひとつがバイクであり、それを形に変えていくことが私たちの務めであると考えています」。
お客様にはバイクを通じて楽しみを提案。そして時には、一緒になって楽しむ。そのフレンドリーな雰囲気に、理想のバイク屋像を見た気がする。 |
![]() |
モーターワールドクリエイトの店名にも含まれる「クリエイト=創造」には、「バイクの楽しみを創造し、お客様に提供したい」という想いがある。その ひとつが、ショップ主催のツーリングである。月に一度の日帰りツーリングと、年に二度開催の一泊~二泊ツーリングを企画している。
ツーリングに対するMWCの思い入れには並々ならぬものがある。季節に合わせて目的地やルートを選択、食事や宿泊場所も含め、必ずスタッフによる下 見を行っている。MWCをスタート地点に、一泊ならば九州北部エリア、一泊以上であれば九州南部や中四国にまで足を伸ばすこのツーリングはライダーからも 好評で、時にその参加台数は50台を越す事もある。
「バイクに乗っている時には、特別な時間を過ごして頂きたい」。そんな思いが企画の細部にまで宿っている。
![]() |
![]() |
2010年式FXDLローライダーをベースに、MWCがカスタム製作したコンプリートマシン。カフェレーサー然としたスポーティなスタイルはローライダーの面影を感じさせない。国産スポーツバイクも得意とする同店がダイナをネイキッドバイク風にアレンジした一台だ。
|
イージーライダース製のスポーツスタータンクをハイマウント。ハワイのトッドサイクル製スピードカフェハンドルによりレーシーなポジションを実現。純正メーターはイージーライダース製ビキニカウルの内側に2連でマウントされた。グリップはRSDをチョイス。
|
![]() |
![]() |
2012年式FXSソフテイルスリムを大幅にモディファイした一台。前後ともRSDのホイールを履き、エアクリーナーも同じくRSD。フロント周りの個性を主張するケンズファクトリー製のトリプルツリーと相まって、メッキとブラックのシャープなコントラストが映える。
|
ハンドル、ライザー、グリップ等コントロール系はRSDをチョイス。スピードメーターはハーレー純正オプションのものをフロントに移設する事によりタンク&ハンドルまわりをスムースに魅せる。PM製のオープンプライマリーキットがワイルドな雰囲気を醸す。
|
![]() |
![]() |
ペイントは100%オリジナルで製作。タンク、オイルタンク、Rフェンダーと、ブラックをベースに流麗かつシャープなラインが描かれ、ゴールドの文字でHarley-Davidson。タンクサイドとトップの質感ある模様は和紙を使ったというワン&オンリー。
|
2011年式FLTRU。純正ペイントのようにも見えるが、実はオーナーこだわりのオールペイントが施されている。RSDのパーツをさりげなく各所に纏い、マフラーはバンス&ハインズで武装。日本が誇る萬羽のバックギアを搭載するなど玄人好みな大人のカスタム。
|
![]() |
![]() |
2004年式FLHRCロードキング・クラシックをMWCの味付けでバガーカスタム。レザーバッグはハードケースに変更、レイクさせたフロントにはレブテック製23インチホイールを履く。乗りやすさを失わないギリギリのラインまで攻めたシックなバガースタイルだ。
|
2011モデルのYAMAHA YZF-R1。ヤマハスポーツバイク正規取扱店でもあるMWCのもうひとつの得意分野がSSのカスタム。ゲイルスピードのマグホイールに、ブレンボキャリ パーはリペイント。サスは前後ともオーリンズで武装、ギルズのバックステップやアクラのマフラーも強烈に自己主張。
|
![]() |
![]() |
JR有田駅から徒歩で2分ほど。有田焼の陶磁器店が軒を連ねる通りに店を構えるモーターワールドクリエイト。ブラック&ホワイトのシャープでシックな外観が高級感を醸し出す。週末にもなれば、常連客たちのバイクがショップの前に並ぶ。
|
日中は窓から差す陽光が明るくバイクを照らす。木の温もり感が優しい雰囲気のショールーム内にはハーレー各モデルはもちろん、MWCが得意とする国産スポーツバイクも並ぶ。赤のネオンで描かれたHarley-Davidsonの文字がバイクを妖艶に輝かせる。
|
![]() |
![]() |
中古車のラインナップには定評のあるMWC。高年式で低走行の無事故車が並ぶショールーム内は、あたかも新車の販売店と見まがうほどだ。程度の良さに徹底的にこだわる、それこそがMWCの真骨頂。中古車販売で好評価を受けている所以である。
|
ショールーム正面、厳選された高品質なハーレーの中古車が並ぶ中、双璧を成すように並ぶのは国産スーパースポーツ&ネイキッドバイク。ハーレーのみならず国産4メーカーの販売&カスタムもオールマイティに手がける。これがMWCの懐の広さだ。
|
![]() |
![]() |
4台のリフトを備える広いファクトリーでは、チーフメカニックの松谷さんが作業中。ショールームとの境は大きなガラスになっており、作業風景はお客様からも確認できる。「作業を可視化するということもサービスのひとつだと思っています」とは上野さんの談。
|
月に一度の日帰りツーリングと、年に二回の一泊~二泊ツーリングには、毎回多くのライダーが参加している。その参加台数は、時に50台近いこともあるという。楽しく走って、美味しいモノを食べて……。月に一度の贅沢をMWCがプロデュース。
|
![]() |
![]() |
ツーリングの目的地やルーティングにはMWC流の強いコダワリがある。いかにお客様に安全に走って頂けるか、楽しんで頂けるかを熟慮しており、毎度スタッフによる下見は欠かさない。ツーリングを通して、バイクを楽しむ時間をクリエイトしているのだ。
|
MWCスタッフ陣。左からチーフメカニックの松谷さん、メカニックの桑原くん、セールスアシスタントの中村有花さん、メカニックの冨田くん(奥)、代表取締役である中村社長、店長の福本さん(奥)、経理担当の中村由美子夫人、マネージャーの上野さん… 圧倒的な技術とチームワーク、そして笑顔が絶えないアットホームな雰囲気が居心地の良い空間を演出してくれている。 |